あわやまりあわやまり

詩

2022-07-15

「温泉」

森の中にある温泉に来た
大浴場に行くと
誰もいなかった

わたしはひとりで
のびのびと
身体を洗い
頭を洗った
すると
どうも人の声がするような気がする
よく耳を澄ますと
温泉がしゃべっているのだ

あー、かけながしー
あー、ながれるわー
まだー、とどまるわー
まだー、ここにいられるわー
あらー、だれもいないわー
あらー、もったいないわー
ここにー、いられるだけー
ここにー、いっしょにー
いましょー
いましょー

頭を洗い終えて温泉に入ると
わー、あふれるー
わー、あふれるー
と言うので
失礼ね
とわたしが言うと

あー、おこってるー
あー、イライラー
かけながしー
ながしましょー
と言われる

おかしくなって
はいはいー、ありがとー
と笑うと
温泉も
コロコロコロコロー
ポコポコポコポコー
と笑っているようだった

 

 

(c) 2022 あわやまり
→詩集「線香花火のさきっぽ」より

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