2019/10/09
やさしくてあたたか
たとえば
抽象的な絵
これはなんとかで
これはなんとか
ってせつめいしてくれる
たとえば
ちいさな石
ほら、おまめみたいに
みえるでしょ
ってじまんげ
たとえば
ずんぐりしたどんぐり
これね、なかに
むしがはいってるかもしれないから
きをつけてね
ってちゅういする
ちいさな手ににぎってくる
きみのおみやげは
毎日の中のたからもの
いつか忘れてしまっても
振り返れば ほら
目印にしてきたキレイな石みたいに
きらきらしているよ
(c) 2019 あわやまり
→詩集「線香花火のさきっぽ」より
2019/10/07
お話のような
空から無限(∞)が
激しい雨のように
降ってきた
そこらじゅうに
散らばっていく無限(∞)
わたしはこわくて
頭をかかえた
すると
8だと思え!
と声がした
そうだ、これは8だ
8 8 8
唱えていると
無限(∞)はだんだん消えていって
一つだけ残った
自分が無限(∞)なのか8なのか
わからなくなって
横になったり
縦になったり
している
手のひらに乗せてやると
やっぱり無限(∞)の形になって
手のひらに吸い込まれるように
すっと消えた
(c) 2019 あわやまり
2019/10/05
いろいろ考える
久しぶりに火傷をした
水ぶくれになった
指先だったから
かなり痛い
何で火傷したかと言うと
炊きたてのご飯だ
あの、罪のなさそうな
つやつやしている
白いご飯
油断していたのだ
私は初心にかえる
見せかけや間違った思い込みで
信じすぎるのは、危険だ
(c) 2019 あわやまり
2019/10/04
元気のないとき
淋しくて
でも
どうしようもないとき
淋しさを
涙に変換できれば
すこしだけ
楽になる
(c) 2009 あわやまり
詩集「ぼくはぼっちです」より
2019/10/01
お話のような
ぼくはよく
王子みたいだね
なんて言われる
容姿も味にも品がある
ついでに値段もちょっとばかり高い
それに、なんて言ったって
香りがね
特別って感じでしょ
爽やかに甘くて
かいだだけで
くらくらする人もいるんだよ
香りっていうのは
人のこころに埋もれていた記憶を
ばっ、と一瞬で
思い出させたりするらしい
そう、だから
食べる前にかいでみてよ
ぼくの香りをさ
ぼくを
そして
一緒に食べた人を
また思い出せるように
(c) 2019 あわやまり