あわやまりあわやまり

詩

2018/06/08

「えんぴつを削る」

昔はえんぴつを

ナイフやカッターで削った

「えんぴつ削り」はもうあったけれど

わたしでさえ

学校でそれを習った

 

父さんや母さんは

小学生の頃とか

学校から帰ってきて

明日の準備で

えんぴつをナイフみたいなもので

削っていたに違いない

 

自分が誰かの

父さんや母さんになるなんてこと

まだ考えもしないで

遊んでいた頃

 

父さんはぶきっちょだから

きっとえんぴつも

きれいには削れなかっただろう

母さんは器用だから

きれいに削ったと思う

それは見られなくてもいいけれど

明日使うえんぴつを削りながら

そのときの父さんと母さんが

どんなことをを思っていたか

ちょっと知りたいと思う

 

 

(c) Mari Awaya 2018

2018/03/31

「桜」

桜の花が咲くのをみたい

うすい桃色の花がきれいに咲いて

ちらちら散ってゆくのも美しい

 

桜の花をこれから何回もみたい

毎年同じように咲いてくれて

私の心をはじけるように明るく

微笑ませてくれる

 

だけれど桜の花をみるのには

夏がきて

秋がきて

冬がきて

それからやっと

春だぁと思うように

いつでも季節を順番にまってから

みられるのがいい

 

それぞれの季節をすごしてから

今年もやっと会えましたねと

思うのがいい

 

 

 

(c) Mari Awaya

2018/02/03

「うちゅうのおふろ」

ひどくつかれた
ふかくきずついた
たましいたちも
うちゅうで
おふろにはいれれば
いいね

 

あったかくて
きれいなおふろ
あがったら
ふかふかのタオルで
ふいてあげる
それから
つめたいものでも
ぐびぐびっとのんでさ

 

そしてすこし
おもえればいいね
またうまれてみようかな
あのあおいほしに
うまれかわってみようかな
って
すこしだけでも
いいよ
なんかいもおふろにはいれば
きっとまた
うまれてみたく
なるよね

 

 

 

(c) Mari Awaya

2017/12/18

「ラッキーバス」

ちっぽけな常識にとらわれた
ちっぽけな悩みを
背中いっぱいにしょって
夕方の駅に辿り着いた
小銭しか入っていないお財布で
今できる一番の贅沢
たこやきを一箱買った

 

けれどもふと見ると
私の小さな幸せ
今日はラッキーバスが
ロータリーに停まっていた

 

やったやった
駆け足でバスに向かう
このバスの存在を
皆はあまり知らないようで
たいていいつも中はがらがら
しかもラッキーバスなのに
料金は他のと同じで二百十円

 

ラッキーバスは
ロータリーを後にして
人込みを抜けて山へと向かう
沈みかけた太陽を
追い掛けて追い掛けて
追い付いた所で見えたのは
たった一つの太陽が見せる
たった一回きりのさよならショー
濃い淡い青色と薄い水色
それに黄色の強いオレンジが
きれいに合わさった演出に
私の小さくちっぽけになりかけていた心は
少しだけ膨らんだ

 

世界はとても広いと言う事を
ちっぽけな私をつくり出したのは
ちっぽけな私の価値観だったと言う事を
身を以て知ったあの日々の事を
ひざの上にたこやきの温かさを感じながら
ほんの少し思い出せたよ

 

ラッキーバスは急な坂を上りきって
最後の乗客とまだ温かいたこやき一箱を
静かに降ろして夜の中に消えて行った

 

 

(c) Mari Awaya

2017/12/05

「雨の日の雫観察」

雨の日の電車の中
私は手すりにつかまりながら
窓ガラスについた
雨の雫を眺めていました
電車が走るとその雫たちは
流されて同じ方へ向かいます
それはまるで各々が
生きているような動きをします

 

他の雫の道を辿ったり
二つが合流して
一つの雫になったり
またギリギリで
すれ違ったり

 

見ていると不思議に
一つの雫を応援してしまうのです
嫌な奴にぶつからないよう
いい雫と一緒になれるよう
がんばれ、がんばれ
もうちょっとこっちだ
よしよし、いけいけ
幸せになるんだぞ!

 

地上に生まれおりた私たちも
きっと 誰かがそうやって
ちょっと離れた空の方から
一人一人を それぞれ熱心に
応援してくれているみたいに

 

 

 

(c) Mari Awaya

2017/11/28

「神様が集めているもの」

顕微鏡でしか見えない微生物
それから何億年を超えて
虫や動物
人間にまでなったのは

 

神様が
集めているからじゃないだろうか
生き物たちが感じる
こころのようなものを
特にきっと
幸せと感じるもの
楽しいと弾けるもの
嬉しいと喜ぶもの
それはただの感情でなく
宇宙のエネルギーにも
なるのかもしれない

 

目に見えないそれらを
宇宙のすみずみまで
浸透するように
たくさん たくさん
いきわたらせたくて

 

 

© Mari Awaya 2015

2017/11/21

「小鳥の助言」

私が眉間にしわをよせていると
顔見知りの
歌声の素敵な小鳥がやって来て

 

どうしてそんなに
むずかしくしちゃうの?
本当はシンプルよ
生きたいところで
生きたいひとと
生きればいいわ
と言う

 

それは分かっているけど
どうしたらいいか分からないの
と私が言うと

 

また考えちゃうのね
さすがにんげんね
と言って
やわらかな春の歌を
歌ってくれた

 

 

 

© Mari Awaya 2015

2017/11/05

「雪のエレベーター」

雪の降ってくるのを
見上げて
立っていると
だんだん
ぐんぐん
上へ上がって行くような
感じになる

 

雪の生まれるところまで
行けるかな

 

 

 

© Mari Awaya 2014

2017/11/05

「何にもない日」

沈んだ夕陽が
山々を浮かび上がらせて
夜がやって来た

 

今日はどんな一日だった?
いやなこと言われたりした?
特に何にもなかったかな?

 

何にもなかった一日は
良いようで
そういう日が続くと
それはそれで落ち込んだりする
何にもなかった、なんてこと
実際にはそうそうないと思うけど
あなたの期待する「何か」は
なかった一日

 

あの山々のように
動けないわけではないから
あなたから動いて
その「何か」を
毎日の中におこすこと
その種をまく事くらいでも
出来るかもしれないね

 

 

 

© Mari Awaya 2014

2017/11/03

「なわとび」

体育の授業の
なわとびがきらいだった

 

みんなでいっせいに始めて
ひっかかったら、その場に座る

 

わたしはいつも
一番に座った
そしてみんなが
ひょんひょん跳んでいるのを
見ていた

 

飛んでいるみつばちを見る
羽根のないみつばちみたい

 

どんなかたちかわからないけれど
みつばちですらなかったけれど
わたしにも羽根がついていると
わかったのは
もっとあとのおはなし

 

 

(c) Mari Awaya 2012
私家版「わたし、ぐるり」より

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