あわやまりあわやまり

詩

2020/05/23

「心」

なんだか分からない

どんなものかも把握できなくて

なかなか、絶対につかめない

 

自分のものなのに

よく分からないのだから

他の人のなんかは

もっとよく分からない

 

でもだから、よかった

形が分からないから

全部焼いてなくすことも

居場所も知らないから

まるごと何処かに

置き去りにすることもできない

 

この方がよかった

なんだか分からなくて

つかめないからこそ

それは、守られているようだから

 

 

(c) 2005 あわやまり

私家版詩集「日々のしずく」より

2020/05/13

「ないものは、ない」

断捨離とか

片付け上手とか

世間では流行っていて

もれなく私も最近

色々なものを処分した

 

しかし

もう今更

どうしようもないけれど

ああ、あれを

捨てなきゃよかった

ほんとに捨てなきゃ

よかったのになあと

思うものがあって

夜も眠れない

 

もしかして捨てていないかも、と

クローゼットを片っ端から見てみても

捨てたことは確からしい

 

ああ

手放したところに

また

新しいものが入ってくる

はずだったのになあ

 

そうか

この捨てたものへの執着こそ

手放せれば

きっとこの心に

何か新しいものが

入ってくるんだ

 

ひらめいたような

なだめるような気持ちで

 

ないものは、もうない

 

と口に出して

クローゼットを閉めた

 

 

 

(c) 2017 あわやまり

2020/05/10

「風の強い日」

木々がめちゃくちゃダンスを踊るくらい

風の強い日

隣の隣に住む大男のシーツが

私の庭に飛んできた

 

青い小花柄のシーツ

と思ったら

シーツではなくて

大きなかっぽう着だった

 

シーツだと思ってしまうくらいに大きい

私はフローリングに広げて

私のシーツと比べてみたり

腕を通してみては

ひたすらその大きさにびっくりした

 

その後隣の隣へ行って

大男にかっぽう着を返した

少し話しをすると

このかっぽう着は

大男のお母さんが使っていたもので

こっちへ出てくるときに

お母さんからもらったのだという

大男はしきりに

ありがとうございますと

うれしそうに言った

 

家に帰る短い道すがら

大男と大男のお母さんのことを考えて

私もお母さんが恋しくなって

びゅうびゅういう風に向けて

おかぁさぁぁん

と言った

 

風は少し弱まって

またすぐにびゅうびゅういった

 

 

(c) 2012 あわやまり

→私家版詩集「あの星から見える、うちの明かり」より

2020/05/06

「受け入れる」

どうかラッキーなことが

来ますように

どうかどうか

起こりますように

と願ってばかりいるより

今の自分を

ああ、こういうのも

幸せだなあ

なんて思えている時に

ラッキーはふっと

降りて来るような気がする

 

 

*この詩は四つ葉のクローバーをモチーフにしたものです。

4つの葉にはそれぞれ意味があり、日本では希望、幸福、愛情、健康と言われます。

 

(c) 2016 あわやまり

「2016年 詩と絵のカレンダー 4月より」

 

 

2020/05/04

「がんばらない」

ある意味

がんばることより

がんばらないことの方が

難しいのよ

とある人が言った

 

ちょっとがんばるの

やめてみたら

とも

 

わたしはがんばって

働いて

からだとこころを

壊して

またがんばって

元気になろうとしていた

 

がんばらないで

自然にまかせて

なるようにしていてごらん

そういうときも

ちゃんとその先へ繋がっているから

 

 

(c) 2009 あわやまり

→「詩集「ぼくはぼっちです」(たんぽぽ出版)

「続・一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある」(PHP研究所)

「小学生で出会っておきたい55の言葉」(PHP研究所)より

ページの先頭へ

ページの先頭へ