あわやまりあわやまり

詩

2021/10/09

「光るごまと読書」


寝入ろうとすると
胸のあたりに
かすかな違和感を感じる

ほんの小さな
ごま一粒ほどの違和感

横になると
胸のあたりが光り
部屋が明るくなって
眩しいほど

胸のあたりにいる
ごまに聞いてみる

なぜそんなに光るの?

するとごまは
胸のあたりから応える

おさまらないんでさぁ
どうにもこうにも
ふにおちないし
おさまらないんでさぁ

何が?
何がおさまらないの?

おらにはわからないんでさぁ
だからこうして光るんでさぁ

うんでも
ちょっと明るくて
眠れないんだけど

するとごまは少し間を置いて
言った

どうしたらいいか
わからんのでさぁ
なにをこわがっているのか
しってるんじゃないかいねぇ

こわがる?
わたしが?

きっと
あなたもわからんから
おらはこうして
光るしかないんだねぇ

そうやって
光るごまが現れる夜は
決まって
一睡もできない

今では
きっとこれにも
わけがあるんだろうと思って
煌々と光る部屋の中
本を読むことにしている

眠れなくて
困った夜だとしても
胸のあたりから光るので
本を読むには
ちょうどいい

 
 
(c) あわやまり 2021

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