あわやまりあわやまり

詩

2018/05/16

「ため」

いきおいよく

とびだすため

ためはひつようだ

それがたとえ

ひとには

ぐうたら

のんだら

どっすり

しているように

みえても

 

ため

ばねの

いちばんちいさいから

いちばんおおきいまで

とべるように

できる

 

だからこうして

ぐうたら

のんだら

どっすり

しているのも

そのためさ

 

 

(c) Mari Awaya 2018

2017/12/09

「浮かんで沈んで」

湯舟に浸かって
お腹を膨らませたり
しぼませたりして
浮かんで
沈んで
浮かんで
沈んで

 

私は少し
複雑な風船のよう

 

 

 

(c) Mari Awaya
「日々のしずく」より

2017/11/29

「ほんのときどき」

布団を取り込む夕暮れのベランダで
日が沈みきるほんの少し前の学校の屋上で
果てしなく長い間の一瞬よりも少しだけ長く
永遠を感じたりする

 

 

 

(c) Mari Awaya

2017/11/21

「かたまり」

肩にかたまりが、いる
特に右のが、大きい
じっとしていて、動かない

 

かたまりはどこから来るか
色んなところからやって来る
上司の嫌味
同僚の愚痴
家族に嫌気
友人と比較
自分に落胆
未来に不安

 

テケテケテケとやって来て
ぴたっとくっつき
からだの一部になる
そこが自らの家であるように
頑として動かない

 

たたいたり
話しかけたり
するけれど
いっこうに動いてはくれない

 

痛くて重くて
わたしは泣いた
一人っきりの部屋で
わんわん泣いた

 

するとかたまりが
ひどく熱くなってきたので
そっと右の肩に手を当てると
かたまりじゃない何かが
こう伝えてきた

 

ユルメナ
ユルシナ
ナガシナ

 

わたしはその言葉を考えた
かたまりをさすりながら
いつもと違って
慈しみをもって
さすりながら

 

 

 

© Mari Awaya 2015

2017/11/09

「らくたん」

幾度
らくたんすれば
わたしは
らくたんしなくて
すむだろう

 

らくたんするのは
期待しているからだ
心というものは
知らないうちに
かすかな期待あるいは希望を
持ってしまう

 

パラパラ パラパラ
らくたんが落ちていく
バラバラ バラバラ
粉々になって
ヒラヒラ ヒラヒラ
そのうちに軽くなって
らっかんしてみられるように
なるかもしれない

 

 

 

© Mari Awaya
「みんなの詩集 夢ぽけっと2014秋号」より

2017/11/06

「月にひっかかった涙」

夜にうかぶ細い月に
私の涙がネックレスになって
ひっかかっている

 

いつ、ネックレスなぞに
なっただろう
昨日の涙は
たくさんあったから
長い長いネックレスになって
風をうけて
ゆらゆらしている

 

それにしても
月明かりを浴びて
キラキラしてきれいだ
哀しい涙だったのに

 

こうやって
見上げる人の中に
もし泣いている人がいたなら
ネックレスに涙つなげよう
一緒に月にひっかけておこう

 

次の新しい月が出る頃には
ほほえんで見上げられるように
今は、泣いておいて

 

 

 

© Mari Awaya 2014
「夢ぽけっと2014春号」より

2017/11/05

「ねぇ、ちょっと聞いて」

焦らなくていいよ
遅刻するんじゃないんだから

 

みんなと同じでなくてもいいよ
ここは学校じゃない

 

こうでなきゃいけないなんてないよ
縛らなくていい、もっと自由でいいよ

 

忘れているかもしれないけれど
もう自分で決めて、いいんだよ

 

 

 

(c) Mari Awaya 2013

2017/11/03

「胃カメラを飲んだ」

わたしの胃は
きれいだった
つるんとして

 

この激痛のかけらも
見つからなかった

 

不思議なもんだ
人のからだって
皮肉なもんだ
またストレスだって
言われちゃって

 

ストレスってのは
ほんとうに
あなどれない子だな
目立つわけでもないのに
確実に
じわじわと
わたしのからだに
サインをおくって
「私に気づいて」
って言う

 

 

(c) Mari Awaya 2012
私家版「わたし、ぐるり」より

2017/11/03

「すのこ」

保育園に
まだ姉も一緒に通っていたある朝
姉は自分のお部屋に行ってしまって
さびしくて
わたしはひとり
お外の靴箱のところの
すのこの上に座って

 

おねい~
と泣いていた

 

わたしの中の
ちいさなわたしが
今でも
すのこの上に座って
だれかを
呼んでいる

 

 

(c)mari awaya 2009
私家版「あの星から見える、うちの明かり」より

2017/11/03

「雨」

夜中
眠ろうとするとき
次の日に
出かける予定のないとき
雨が
ポツ ポタ ポツリ
と降ってくると
安心する

 

雨の中
わたしは布団の中で
そこは
やわらかに守られていて
安全だ

 

 

昼間
家で何もしていなくて
雨が
ザア ザア サー
と降っていると
不安になる

 

雨の中
わたしはひとり
ここに
取り残されているようで
迎えに来てほしくなる
じぶんの家なのに

 

 

(c) Mari Awaya 2010
私家版「あの星から見える、うちの明かり」より

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