あわやまりあわやまり

詩

2026/06/27

「リンゴがやるべきこと」

リンゴは今日まで
もうこれ以上
出来ないというほど働いた

 

ひとり、ふたりと
辞めていく職場で
その人たちの分まで働いた

 

それなのに
理不尽な圧をかけられ
ぞんざいに扱われた

 

リンゴは
内側から痛んでいた
もう
腐るほかなかった

 

贈答用のリンゴに
なれなくてもいい
あたたかいアップルパイにも
もうなれなくていい
ただ
誰のためにもならずに
腐っていく
腐って最後には
真っ黒の固まりになる

 

と
考えもしたが
やっぱりそれはよそう
と思った

 

それが
本当に自分がなりたい
リンゴなのか?
真っ黒の固まりが?

 

とにかく一日も早くここから離れる
そして休むんだ
リンゴは決意した

 

「どんなリンゴになるべき」
ではなく
主語を自分にして
「ぼくは、どんなリンゴになりたいか」
を考えることが
今、一番大事な
リンゴがやるべきこと

 

(c) 2026 あわやまり

詩集「忘れる星」より

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