あわやまりあわやまり

詩

2017/11/03

「電話のあと」

あなた 知らないでしょ
あなたとの電話切ったあと
私がやっていること
私 口が開かないから
しごく原始的な装置で
(木でできた大きな洗濯ばさみみたいので)
口を開くようにしているの

 

そんなことは
別に知らなくてもいいのだけどね

 

でもあなた 知らないでしょ
電話先に切られるの 嫌だから
いつも私から
じゃあねって言ってるの
もっともっと話していたいけど
ほら 口開くように
練習しなくちゃならないし
私から切るの

 

なんてね うそだけど

 

あなたの最後に言う
おやすみが
あの頃みたいに
毎日聞けたらなって思うよ

 

 

(c) Mari Awaya 2008
手製本「氷のラブレター」、詩集「あなたに好き、と言う以外は」より

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