あわやまりあわやまり

詩

2017/11/21

「大きすぎて、今は」

それが
大きすぎて
分からなかった
白い鳥の絵だという事が
かなり遠ざかってみて
ようやく分かった

 

どこにいるか
分からなかった
霧の中だと思っていた
晴れたとき
大きな山の中腹の
雲の中にいるのだと
やっと分かった

 

今夢中にやっていて
まだかたちにならないもの
迷って戸惑って
どこにいるか分からないときも
同じようなこと

 

大きすぎる絵が何なのか
自分はどこにいたのか
いつか
分かる日が来るはず

 

 

 

© Mari Awaya 2015

2017/11/15

「幾何」

雨が降って
傘についてきた
雨粒たちを
部屋で乾かす

 

乾燥している部屋で
それはすぐに気化する

 

傘は幾何学模様
重なる色たち
眺めていると
どこを見ているのか
分からなくなって
頭がぼうっとする

 

どれほど
どれくらい
ここにこうしていたのか
どれほど
どれくらい
この世界にいるのかも
分からなくなって

 

 

 

© Mari Awaya 2015

*幾何…いくばく、とも読みます。

2017/11/09

「もし」

もし
とだけ
机に書いてある

 

続きを考える
もし、ここにいなかったら
もし、今日が十年前だったら
もし、私が私じゃなかったら
もし、ここが地球じゃなかったら
もし、生まれ変われるのなら

 

もし、聞いてくる
あなたはだれですか?

 

 

 

© Mari Awaya 2014

2017/11/09

「そういう人がいるんだから」

悪意のない
無関心から発せられる
不躾な質問は
日常の中に、結構存在して

 

その質問に
傷つく人のいることを
想像すら出来ない人も
世の中に、なかなかいる

 

 

 

© Mari Awaya 2014

2017/11/06

「足跡スタンプ」

ここまで来るのに
どんな道を通ったのか
誰にもわからないだろう
たくさん 歩いた
そのたくさんは
自分にしか分からない

 

歩いてきた足跡
それがスタンプカードにたまって
いっぱいになったら
目標に届く
夢が叶う
そんなふうに世の中は
できていない

 

けれど振り返って見る
足跡がついている
一歩ずつ残してきた足跡は
スタンプカードみたいに
たまったら終わりじゃない
それは一本の道をつくってきた
私にしか見えない 私の来た道
それはこれから進むべき道へ
私らしく歩いて行けるように
きっと 力をくれる

 

 

 

© Mari Awaya 2014

私家版詩集「夜になると、ぽこぽこと」より

2017/11/06

「するする」

するする書けるペンは
気持ちがいい
するする書けない
ペンの後に使ったのなら
なおのこと

 

するする するする
人生の難問も
とけて行ったら
気持ちいいか分からないけど
ちょっと
つまんなそうな人生になりそう
すーーーっと一直線だけしかない
そんな道に

 

 

 

© Mari Awaya 2014
「夢ぽけっと2014春号」より

2017/11/05

「どっちの中にも」

わるいことの後には
いいことがくる
いいことの後には
わるいことがくる
と言うけれど
これはほんと

 

でも実は
わるいことの中にいいことが
いいことの中にわるいことが
隠れていて
それが見えてくるだけ
なのかもしれない

 

 

 

© Mari Awaya 2008
「ぼくはぼっちです」「あわやまりのひとしずく」より

2017/11/05

「ぽっかり」

忘れた
ぽっかり
お月様
浮かぶ夜
ぽっかり
眠れない
眠れない
ぽっかり
忘れたこと
はっきり
思い出す

 

 

 

© Mari Awaya 2014

2017/11/03

「しおり」

読んだところまで
そこに、はさんである

 

わたしが知っているところは
ここまで
ここから先はまだ知らない
未来
まるで「今」を示すように
本の中にはさまっている

 

 

(c) Mari Awaya 2013

詩集「夜になると、ぽこぽこと」より

2017/11/03

「わたしはきのこちゃんになって」

森にそっと
たたずんでいようかしら
真っ黒なきのこちゃんは
美味しくなさそうだから
食べられないで
ずっとそこにいるかもしれない

 

木漏れ日が少しだけさす
しっとりとした
森のなかで

 

 

 

(c) Mari Awaya 2013

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