あわやまりあわやまり

詩

2017/11/03

「しみ」

カーディガンにこぼした
お好み焼きのソースのしみが
かばんの中でしゃべるので
うるさくてたまらない

 

はやくとって
はやくはやく
はやくとって
はやくはやく

 

私はたまりかねて
カーディガンをとりだして
トイレへ行って
しみをごしごし石鹸で洗った
しみは
ふー、きえていくぅー
きえますよー
と小さいこえで言った
すこし落ち着いて
席にもどって
友達とぺちゃぺちゃしゃべっていたら
私の中に最近できた黒いしみも
だんだん、ちょっとづつ
小さくなっているようだった

 

はやくはやく
消えてほしいとは思うけれど
これはもう
ほかのことに集中するか
時の流れにまかせるか
するしかない
そうしていたら、じきに
この類のしみなんて
消えているのだから

 

ほーら、みてな
消えちゃうんだから

 

 

(c) Mari Awaya 2007
私家版「ぽちぽち、晴れ」より

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