2020/03/24
「意志」
新年明けたばかりの電車に乗る
規則正しくぶら下がるつり革は
そろってゆれる
電車がゆれるたび
同じにゆれる
その様を眺めていると
その中で何故か頑なに
ゆれていないつり革を見つけた
よく見ると
そのつり革は
口をへの字にして
何か言っている
ゆれるから
ゆらされるのは
ごめんだ
ぼくはぼくのみちをいく
ほかがよくみえても
ときに
こどくがつらくても
ここにいたって
みちはえらべる
誰も気がつかなくても
強く頑なに
ゆられない
孤高のつり革
(c) 2020 あわやまり
「秋美vol.32より」