あわやまりあわやまり

詩

2019/11/03

「抹茶ソフトあんみつ」

全然わかっていなかった

とわたしが言うと

 

何が?

とテルオくん

 

だからね

たとえば人の話を聞いていて

本当に真剣に聞いて

理解しようと思って

わかったと思うの

でも実際同じようなことが

自分におきてみて

はじめて

わかったって思ったの

ああ、わかってなかったんだって

 

テルオくんはクリームあんみつの

ソフトクリームを食べながら聞いている

 

あとね

人のことを

ちょっと会っただけで

ううん、前からの知り合いであっても

なんとなくわかったように思っちゃう

でも本当は

その人のほんのちょっとしか

わかっていないんだって

わかったの

 

わたしの抹茶ソフトあんみつは

汗を流しはじめた

するとテルオくんは

 

僕なんてさ

じぶんのこと

どれくらいわかっているか

それすら わかんないよ

みんなそうなんじゃない

 

わたしはやっと

抹茶ソフトを二口食べる

 

そうかなぁ

と落ち込むわたしに

 

わかっていなかった

ってわかったことがすごいと思うけど

たいていそんなこと気にしないでしょ

まあ、溶けちゃうから食べたら

とテルオくん

 

そうかなあ

そうなのかな

なんか今日はアイスって気分じゃなかった

普通のにしとけばよかったなぁ

とわたしが言うと

 

やった、じゃあ抹茶ちょうだい

とテルオくんはわたしのお皿を

自分の方へ持っていった

 

あれ、抹茶嫌いじゃないの?

と聞くと

 

そんなことないよ

あ、ほらね

きみはまだ僕のことを

わかっていない

にしし、と笑った

 

 

 

(c) あわやまり

私家版詩集「テルオくんとわたし」より

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