あわやまりあわやまり

詩

2020/02/09

「シルシルとみかこさん」

黄緑の細い草の

小さいぼんぼんのような

ひげのシルシルが

道端で何匹かうろうろしている

最近よくシルシルを見かけるけれど

今年になって初めて出会った

 

どこいったの

どこいったの

どこいけばいいの

どこいけばいいの

どうしたらいいの

どうしたらいいの

 

みんなで反復する

 

どうしたの?

とかがんで話しかけたら

その中でも動きの遅い子が

 

どこいけばいいか

わからないの わからないの

 

迷子なの?

と聞くと

 

まいごって なあに?

と言うので

 

えっと

一緒にいた人とはぐれてしまったり

行く道が分からなくなることかな

 

まいごだ

ぼくたちまいご

ずっとついてきたひとが

どこにいるかわからない

そのひと

どこにいけばいいか わからない

どうすればいいか わからない

そういってた

 

じゃあ、その人も

迷子になっちゃったのかな

そう言うと

 

まいご どうすればいいの?

どうすれば いいの?

と聞くので

 

その人ってどんな人なの?

と聞くと

 

ミカコさん

いいにおい

おーえる

コンカツしてる

 

わたしは困ってしまって

 

そうか、どうしようね

とりあえずうちの庭に来る?

と聞くと

 

みかんのき ある?

と言うので

 

ないけど、みかんあるよ

と返すと

 

じゃあ いくいく

みんな このひと

みかんあるって

いこう いこう

 

そしてひげのシルシルたちは

ぞろぞろとわたしの庭にやって来た

ミカコさんがどこに行ったかは

分からないまま

 

 

 

(c) 2014 あわやまり

→詩集「夜になると、ぽこぽこと」より

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