あわやまりあわやまり

詩

2019/11/13

「夜のひと」

毎夜眠れないので

夜をめくる光景を

眺めるようになった

 

大きな 大きな

暗い闇夜で

大勢の夜のひとたちが

ゆっくり ゆっくり

一ページずつ 夜をめくる

 

今日もそれを眺めていたら

休憩で交代したのか

夜のひとが一人こちらへやってきた

 

あなた

最近ずっと眺めていますね

眠れないのなら

めくり人になりますか

 

と言われる

わたしはベッドの上に起きて

 

いいえ、大丈夫

わたしは夜のひとではないから

めくり人にはなれません

 

そうですか

夜に眠るというのは

どんなものですか

そんなにいい、ものですか

 

いい、ものです

とても大切なことです

 

じゃあ、さぞかし

おつらいでしょう

 

そうですね

 

私たちは平等に

夜をめくらなければならない

そうでないと

朝のひとに迷惑がかかって

一日が崩れていく

私がしてあげられるのは

これくらいです

 

と言って

濃い藍色のちいさな石をくれた

 

この石で頭を三回軽くたたいて

眠る時間ですよ

と言うんです

夜のひとは夜でない時

好きな時に眠りますから

まぁ、これは夜のひとがやることだから

効くかわからないけれども

 

ありがとうございます

やってみます

 

夜のひとは闇へ帰って行った

 

私は渡された石で

頭を三回たたいて

もう眠る時間ですよ

と言ってベッドに横になり

ゆっくりと 目を閉じた

 

 

(c) あわやまり

私家版詩集「いくつかの夜をめくった」より

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