あわやまりあわやまり

詩

2020/01/05

「終わりと始まり」

終わりの後には

なにかしらの始まりがあって

始まりの後には

遅いか早いか分からないけれど

終わりがある

数え切れないそれらを

一生のうちに何度も繰り返して

生きている

 

そしてだんだん

慣れてしまうのかもしれない

小さな終わりには

気づかず

静かな始まりも

見過ごしてしまう

そうしないと

生きていかれないことだってあるけれど

 

やっと今

少しわかるのは

終わりは悲しいばかりではない

ということだ

その後に、ほとんど絶対

始まりがくるのは決まっている

それが来て欲しいものかどうか

分からないけれど

そうやってこの世界は

ずっと続いて来た

この星が生まれてから

ずっと

 

 

(c) 2019 あわやまり

2020/01/03

「風と糸と凧」

各駅停車の電車が止まった駅で

川辺をながめる

凧あげをしている

 

強すぎない風をうけて

遠い地上と細い糸でつながりながら

あんなに高く飛んでいる

 

風も糸も大切だけれど

凧自身がなければ

あんなに高く

飛べはしない

 

それはなにかに

似ているような気がして

考えようとしたら

電車は動き出した

 

 

 

(c) 2014 あわやまり

2019/12/15

「あのひとの人生」

人はしばしば
あのひとは幸せだったのだろうか
なんて
もう本人に聞けないことを
考えたりする

 

もしその答えが
天国から送られてくる
なんて仕組みになっていたら
どうだろう

 

しかもそれが
幸せでなかった
だとしたら
私たちは更なる後悔を
背負うことになるだけだ

 

だから
残されたものたちは
想像するくらいしか出来ないことが
この世の

うまくできた仕組みなんだと思う

 

 

(c) 2019 あわやまり

2019/12/11

「本物」

作りもの
の中に
本物のようなもの

を感じ
現実
の中のそれは
当たり前ではあるけれど
思い描いていたものとは
かけ離れていて
それは当然
本物なのだけど
作りもの
あるいは
夢の中のもの

が本物みたいに

に思えるのは
何故だろう

 

 

(c) 2019 あわやまり

2019/12/08

「少年の明日」

インドのカルカッタの駅で

目だけは深く澄んで

きらきらしている少年が

明日を探している

 

通り過ぎる

忙しそうに働く人々がくれるのか

旅行に来た

外国の人たちがくれるのか

信じているのか分からない

神か仏がくれるのか

 

少年の明日は

どこに行ったらあるのか

 

こんなに貧しさと豊かさの差があって

こんなに自分は何も持ってなくて

こんなにたくさんの人がいる国で

1年に8万人の子供が行方不明になる国で

 

どうして、と

問うことも出来ないまま

ひたすらに明日を探している

 

 

(c) 2018 あわやまり

2018年「秋美vol.30」より

2019/12/07

「ほんとうの友達」

前に知り合いの人が

「環境がつくりだした友達」

という言葉を使った

 

学校や会社

アルバイトに習い事

その場にいるから友達だけれど

その場がなくなると

会わなくなるような人のことだ

 

大人になれば

そういう人が今までに

たくさんいたなぁと思い返す

その人たちも

人生の限られた間だったけれど

その時はとても大切だったよ

ありがとう、元気でいてねって

心の中で、思っている

 

そして

今も仲良くしている友達は

大切な宝のような

ほんとうの友達だから

これからもどうぞよろしく

いつもありがとう、って

直接会って、言いたい

 

 

 

(c) 2018 あわやまり

2019/11/16

「出会う」

この歌に出会うまで

今日までかかった

数年前に

世に出ていた

いい歌詞だって

評判だった

歌なのに

 

この本に出会うまで

今日までかかった

何十年も前に

書かれていた

有名な作家の

本なのに

 

その歌や本の来た道と

私の興味のベクトルが

偶然という場所で

決まっていたことのように

ぶつかったから

 

 

(c) 2008 あわやまり

→詩集「ぼくはぼっちです」より

2019/10/31

「あなたがいる世界」

生まれたてのあなたを

抱いたのは暑い日だった

まだ目も見えていないあなたは

とてもちいさくて

こわれてしまいそうだった

 

あなたがいる世界では

あなたがいない世界のことを

想像するのはむずかしい

 

すこし前まで

あなたのいない世界は

当たり前だったと言うのに

 

世界は

常に塗り替えられる

だんだんと

突然に

 

そして明日は

気がつかないくらいに

全然違う世界になっている

 

 

(c) 2018 あわやまり

詩集「線香花火のさきっぽ」より

2019/10/23

「みたらし団子」

野球のユニフォームを着た少年が

みたらし団子を持っている

ここは電車の中だ

 

彼の隣には

おしゃれをした若い女性が座っている

少年のみたらし団子は

たれをたっぷりつけて

つややかだ

 

それだけに 心配だ

 

少年にたれがついてしまうのなら、仕方がない

だけれどもし、隣の女性についてしまったら

これからデートに行くかもしれない

彼女はどうするだろう

 

速やかに、食べてしまえばいいのに

その思いをよそに

少年はみたらし団子を食べようとしない

 

たまに激しく揺れる電車の中で

みたらし団子をじっと見つめ

行方を見守る一人の女のことを

食いしん坊だと

どうか 思わないで欲しい

 

 

 

(c)  2012 あわやまり

2019/10/05

「火傷」

久しぶりに火傷をした

水ぶくれになった

指先だったから

かなり痛い

 

何で火傷したかと言うと

炊きたてのご飯だ

あの、罪のなさそうな

つやつやしている

白いご飯

油断していたのだ

 

私は初心にかえる

見せかけや間違った思い込みで

信じすぎるのは、危険だ

 

 

 

(c) 2019 あわやまり

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