あわやまりあわやまり

詩

2017/11/03

「青いインコ」

最近
朝方になると声がする
寝ぼけているので夢の中のことかと思うが
どうやら外から聞こえるようである

 

あんたのこと、
好きよ
一生、
好きよ

 

それを繰り返す
朝っぱらから
どんな人が言っているのだろうかと思うけれど
布団から出たくないので
またうつうつと眠りにつく

 

ある日
駅から十分くらいのところにある
コンビニの掲示板に
「ピアノ教室生徒募集」
「家庭教師やります」
の張り紙といっしょに
「探しています」
の張り紙を見つける

 

青いインコです
頭や肩にのります
名前はチュー吉です
よく言う言葉は
「あんたのこと、好きよ」
と書いてあった

 

おお、こいつが声の主か
と納得し
チュー吉の写真をしばらくながめて
連絡先をメモして帰った

 

夜寝る前に
明日の朝チュー吉を驚かせないよう
ベランダの雨戸をちょっと開けた
ベットに横になって

 

あんたのこと、
すきよ
一生、
すきよ

 

声に出して言った
頭に浮かんできた「あんた」は
私のことをすきにはなってくれない人

 

でも、
あんたのこと、
すきよ
多分ずっと、
すきよ

 

心の中で言って
電気を消した

 

 

(c) Mari Awaya 2007
手製本「氷のラブレター」、私家版詩集「あなたに好き、と言う以外は」より

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