あわやまりあわやまり

詩

2020/01/11

「目の前のおじさん」

空いている電車で
私の前に座るおじさん
リュックを抱え
目をつぶっている

 

おかげで
私が泣いていることには
気がつかないようだ

 

じっとしていて
動かないし
よく見ていると
悟ったような顔をしていなくもない
穏やかな顔をして目を閉じており
神か仏の化身かもしれない

 

もしかしてこのおじさんは
私の全てを知っていて
泣きなさい
と無言で
言ってくれているのかも

 

おじさん
と心の中で呼びかけた時
おじさんは目を開け
素早く電車を降りて行った

 

神か仏か、人間かもしれないけれど
私を許してくれているように

思えた

 

 

(c) 2018 あわやまり

ページの先頭へ

ページの先頭へ

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。