2017/12/13
いろいろ考える
蓋をしよう
そうした方が
きっと楽に生きられる
全て不確かな上の確かなもの
薄い紙切れ一枚も
模様が透けるきれいな紙の束も
重いキーホルダーの付いた堅そうな鍵も
幼い二人を写した幸せ溢れる写真も
引き出しの中の素っ気ないラベルのフロッピーも
お菓子の空き箱に入れて土に埋めた手紙も
それからそれから
はかり知れないほどたくさんの人を魅了する大きな目も
私の中指の曲がった両の手も
あの子のすらりとした外反拇趾の長い足も
あの人の右下にほくろのある小さな口も
不確かな上の不確かなものは
この際どうでもよいのだけれど
やっぱり問題は確かなもので
それは私がそうと
決めつけているだけにすぎないのです
だけれどそれを不確かと
認めるのには弱すぎるので
決めつけてしまうのは
仕方のないこと
つらくないこと
更にはきっと楽なこと
不確かなものを確かなものと思い込んで
不確かな世界の中で
不確かな私は
今日も不確かに蓋をする
(c) Mari Awaya
2017/12/09
元気のないとき
湯舟に浸かって
お腹を膨らませたり
しぼませたりして
浮かんで
沈んで
浮かんで
沈んで
私は少し
複雑な風船のよう
(c) Mari Awaya
「日々のしずく」より
2017/11/29
元気のないとき
布団を取り込む夕暮れのベランダで
日が沈みきるほんの少し前の学校の屋上で
果てしなく長い間の一瞬よりも少しだけ長く
永遠を感じたりする
(c) Mari Awaya
2017/11/28
やさしくてあたたか
顕微鏡でしか見えない微生物
それから何億年を超えて
虫や動物
人間にまでなったのは
神様が
集めているからじゃないだろうか
生き物たちが感じる
こころのようなものを
特にきっと
幸せと感じるもの
楽しいと弾けるもの
嬉しいと喜ぶもの
それはただの感情でなく
宇宙のエネルギーにも
なるのかもしれない
目に見えないそれらを
宇宙のすみずみまで
浸透するように
たくさん たくさん
いきわたらせたくて
© Mari Awaya 2015
2017/11/21
いろいろ考える
それが
大きすぎて
分からなかった
白い鳥の絵だという事が
かなり遠ざかってみて
ようやく分かった
どこにいるか
分からなかった
霧の中だと思っていた
晴れたとき
大きな山の中腹の
雲の中にいるのだと
やっと分かった
今夢中にやっていて
まだかたちにならないもの
迷って戸惑って
どこにいるか分からないときも
同じようなこと
大きすぎる絵が何なのか
自分はどこにいたのか
いつか
分かる日が来るはず
© Mari Awaya 2015
2017/11/21
やさしくてあたたか
私が眉間にしわをよせていると
顔見知りの
歌声の素敵な小鳥がやって来て
どうしてそんなに
むずかしくしちゃうの?
本当はシンプルよ
生きたいところで
生きたいひとと
生きればいいわ
と言う
それは分かっているけど
どうしたらいいか分からないの
と私が言うと
また考えちゃうのね
さすがにんげんね
と言って
やわらかな春の歌を
歌ってくれた
© Mari Awaya 2015
2017/11/21
元気のないとき
肩にかたまりが、いる
特に右のが、大きい
じっとしていて、動かない
かたまりはどこから来るか
色んなところからやって来る
上司の嫌味
同僚の愚痴
家族に嫌気
友人と比較
自分に落胆
未来に不安
テケテケテケとやって来て
ぴたっとくっつき
からだの一部になる
そこが自らの家であるように
頑として動かない
たたいたり
話しかけたり
するけれど
いっこうに動いてはくれない
痛くて重くて
わたしは泣いた
一人っきりの部屋で
わんわん泣いた
するとかたまりが
ひどく熱くなってきたので
そっと右の肩に手を当てると
かたまりじゃない何かが
こう伝えてきた
ユルメナ
ユルシナ
ナガシナ
わたしはその言葉を考えた
かたまりをさすりながら
いつもと違って
慈しみをもって
さすりながら
© Mari Awaya 2015
2017/11/21
四行の言葉
早く分かるものなの?
出来るとか出来ないとか
成し遂げるとか遂げられないとか
(c)Mari Awaya 2015
2017/11/21
四行の言葉
そこを渡るときみたいだね
ちょっと勇気がいって
タイミングが重要で
(c)Mari Awaya 2015
2017/11/15
いろいろ考える
雨が降って
傘についてきた
雨粒たちを
部屋で乾かす
乾燥している部屋で
それはすぐに気化する
傘は幾何学模様
重なる色たち
眺めていると
どこを見ているのか
分からなくなって
頭がぼうっとする
どれほど
どれくらい
ここにこうしていたのか
どれほど
どれくらい
この世界にいるのかも
分からなくなって
© Mari Awaya 2015
*幾何…いくばく、とも読みます。